AI音楽というと、「テーマを入れてボタンを押せば完成する」というイメージを持たれることがあります。
もちろん、Sunoだけでも曲そのものは生成できます。
でも、僕が「まんまるAI音楽研究所」でやっている制作は、そこから少し違います。
AIに完成品を丸投げするのではなく、AIと何度も相談しながら、一つずつ方向を決めていく。
これが、今の僕のAI音楽制作にかなり近い感覚です。
今回は、実際に1曲を作るときにどんな順番で考えているのかを、テーマ決めからYouTube投稿までまとめてみます。
1.最初に決めるのは「ジャンル」より「何を面白くするか」
新曲を作るとき、最初から「J-ROCKを作ろう」「和ロックを作ろう」と決める場合もあります。
ただ、曲数が増えてからは、ジャンルだけでスタートすると過去曲と似やすくなりました。
そこで最近は、先に「今回の曲は何が面白いのか」を考えます。
たとえば、
- 記憶そのものではなく「色だけ残る」をテーマにする
- 流行を追うほど自分が流される、という言葉遊びを中心にする
- 螺旋のように同じ場所へ戻りながら、少しずつ上へ進む構成にする
- 強い言葉に対して、あえて少しダウナーな歌声を合わせる
といった具合です。
この「一つだけ変な芯」を先に作っておくと、そのあとにジャンルや楽器を決めやすくなります。
過去曲と似せないために考えていることは、「AI曲をたくさん作って分かった、過去曲と似せないための考え方」にもまとめています。
2.AIとの相談で「最初の案」をそのまま採用しない
テーマが決まったら、AIと一緒に曲の方向を整理します。
ここで僕がかなり意識しているのが、最初に出てきた案をそのまま完成形にしないことです。
最初の案は、あくまで素材。
「最近の曲と似ていないか」「この言葉は前にも使っていないか」「このテーマなら別のジャンルの方が面白くないか」と何度か往復します。
ときには、タイトルだけ残してテーマを全部やり直すこともあります。
逆に、テーマは良いけれどタイトルだけ変える場合もあります。
AIから答えをもらうというより、案をたくさん机の上に並べて、自分で方向を選ぶ。
その使い方の方が、僕には合っています。
3.歌詞は「意味」だけでなく、実際に歌われることを考える
テーマと構成が固まったら歌詞を作ります。
ここでも、文章としてきれいなら終わりではありません。
Sunoで歌わせると、文字で読んだときには気にならなかった部分が急に気になることがあります。
たとえば、
- 一行が長すぎてメロディに詰め込まれる
- 難しい漢字の読み方が想定と違う
- 同じ語尾が続いて単調になる
- サビでタイトルをそのまま何度も歌ってしまう
- 意味は良いのに、歌にすると語感が弱い
などです。
そのため、Sunoへ入れる段階では読みやすい形に直したり、サビの一行目を短くしたり、同じフレーズを使いすぎないように修正しています。
歌詞は「読む文章」ではなく、最後は「音になる文章」として調整するようになりました。
4.Suno用スタイルは、全部を書くより優先順位を決める
歌詞と並行して、Sunoへ入れるスタイルも作ります。
以前は、楽器、BPM、歌い方、展開、雰囲気、ミックスなど、細かい指定をたくさん入れていました。
ただ、制作を続けるうちに「指示が多ければ多いほど良い」とは限らないと感じるようになりました。
今は、その曲で絶対に外したくないものを先に置きます。
たとえば、
- アニメOPのような疾走感
- ピアノのアルペジオを中心にする
- 女性ボーカルをミックスの前に出す
- イントロとサビを特に強くする
- 長い間奏や長いソロを避ける
といった部分です。
全部を主役にしようとせず、今回は何を主役にするのかを決めます。
実際に多かった失敗については、「Sunoで150曲以上作って実際に多かった失敗7選」にもまとめています。
5.生成してからが、本当の調整開始
Sunoで生成ボタンを押したら完成。
実際には、僕の場合ここからの方が長いこともあります。
生成された曲を聴いて、まず確認するのは「良い曲かどうか」だけではありません。
最初に決めたテーマや方向が、音として本当に出ているかを確認します。
たとえば、
- イントロは印象に残るか
- サビが曲のピークになっているか
- ボーカルが楽器に埋もれていないか
- 間奏が長くなりすぎていないか
- ラスサビが前のサビの完全コピーになっていないか
- 3〜4分程度でまとまっているか
などです。
ここで問題があれば、スタイルを直したり、歌詞を少し削ったり、構成そのものを変えたりします。
サビについては「Sunoでサビをもっと印象的にするために意識していること」、ボーカルについては「Suno V6でボーカルが埋もれるときに試したこと」で、個別に試したことを記録しています。
6.曲が完成しても、作品はまだ半分
曲が決まったら、次はサムネイルです。
ここでも、単に「曲の歌詞をそのまま絵にする」だけにはしないようにしています。
曲の中で一番強いモチーフは何か。
人物を入れるなら、どんな表情やポーズが曲に合うか。
最近のサムネイルと構図や色が似ていないか。
YouTubeの小さい画面でもタイトルが読めるか。
そういった部分を考えながら画像を作ります。
特に最近は、画像生成で手や指、足などが不自然になっていないかもかなり確認しています。
音楽と画像を別々に作るのではなく、一つの作品として同じ方向を向かせる。
ここも、AI音楽を続けるうちに大事だと感じるようになりました。
7.最後にYouTubeへ載せる言葉を作る
曲とサムネイルが完成したら、YouTube用の説明文、Shorts用の短い説明、Xの投稿文などを作ります。
ここでは、歌詞を全部説明するより「この曲は何を描いた曲なのか」が短く伝わるようにしています。
曲を聴く前に全部答えを書いてしまうのではなく、少しだけ入口を作るイメージです。
そして制作の途中で迷ったことや修正したことは、できるだけ制作日記として残しています。
たとえば、「螺旋律のアルペジオ 制作日記」では、1曲のテーマや構成をどう組み立てたかを記録しています。
AIは「作曲ボタン」より、一緒に考える道具に近い
こうして振り返ると、AIを使っている部分はかなり多いです。
テーマ案、タイトル案、歌詞、構成、Suno用スタイル、画像案、説明文。
ただ、その全部をそのまま採用しているわけではありません。
候補を出して、比べて、違うと思えば戻して、また作り直す。
その繰り返しです。
AIが作品を決めるのではなく、AIを使いながら「何を残すか」を自分で決める。
今のところ、それが僕にとって一番しっくりくるAI音楽制作です。
150曲以上作って見えてきた全体的な難しさについては、「Sunoで150曲以上作って分かった『AI音楽制作で本当に難しいこと』」にもまとめています。
これからも「まんまるAI音楽研究所」では、完成した曲だけでなく、その途中で何を考え、何を失敗し、どう直したかも研究記録として残していきます。


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