『招かざる猫』は、招き猫の定番イメージを少しひっくり返して、「福だけではなく、退屈や停滞までかき混ぜていく猫」を描いた和ロックです。
三味線・琴・和太鼓とロックバンドの音を軸に、少し粋で、少し怪しい夜の空気を重ねています。ボーカルは低めでクールな女性声を想定し、声が伴奏に埋もれないよう前に出す方向で調整しました。
ちりん ちりんと鈴が鳴る
暖簾を揺らす 宵の風
ひとつ遅れて影が来る
今夜も気まぐれ お通りだ
右手を上げれば金を呼ぶ
左手を上げれば人を呼ぶ
そんな決まりを聞き流し
尻尾で看板 裏返す
ひとつ ふたつと 提灯が
路地の噂を赤く染める
願いを並べた皿の上
魚の匂いだけ さらってく
おいで おいでと呼ぶ声に
耳だけ向けて 知らん顔
福の札まで差し出されても
気分じゃなけりゃ また今度
福だけなんて呼ばないさ
つまらぬ予定もかき混ぜる
右も左も 当てにせず
呼びたいものだけ 風に乗せる
ちりんと鳴って戸をまたぐ
決まりきった日々に爪跡ひとつ
縁起ものには収まらない
呼ばれもしないで 戸をくぐる
古い障子に月明かり
ぬるいお茶には見向きもしない
誰のものにもならない影が
畳の上を すっと渡る
商売繁盛 恋成就
札に書かれた 願いの数
叶う 叶わぬ 数えるうちに
魚はとっくに 消えている
おすわりなんて柄じゃない
綺麗なだけじゃ眠くなる
こぼれた夜を爪で寄せ
面白そうなら ひと跳びだ
福だけなんて呼ばないさ
気まぐれひとつで風を変える
迷いも熱も 引き連れて
鈴を鳴らして 駆けていく
すました顔で鈴を鳴らし
古びた運を転がして
めでたしだけじゃ味気ない
知らん顔して 戸をくぐる
月が屋根まで降りるころ
路地の向こうで風が鳴る
吉も 凶も 札の文字
残した足跡 誰も追えない
一歩 もう一歩
瓦を蹴って
鈴ひとつぶん 風が跳ねる
福だけなんて呼ばないさ
願いの順番 ひっくり返す
右も左も 好きに上げて
呼びたいものだけ ここへ来い
ちりんと鳴って風を切る
昨日の札なら裏返せ
手招きなんて待っちゃいない
呼ばれてないのに やって来た
戸口にひとつ 爪跡残し
今夜も鈴だけ 鳴らして消える
ちりん ちりんと鈴が鳴る
暖簾の向こうで 猫が鳴く
この曲のイメージ
呼ばれてもいないのに現れて、勝手に流れを変えていく黒猫。福を運ぶというより、止まっていた空気をひっかき回して、何かを動かしていく存在として描いています。



