AIで曲を作り続けていると、ある時から『新しい曲を作ること』よりも、『過去に作った曲と似すぎないようにすること』の方が難しくなってきます。
テーマは違うはずなのに、使っている言葉やサビの展開、音の雰囲気を振り返ると、どこか前の曲に似ている。曲数が増えるほど、自分の中の定番パターンも増えていきます。
今回は、AI音楽をたくさん作ってきた中で、最近特に意識している『過去曲と似せないための考え方』をまとめます。
テーマ:過去曲との重複を減らす考え方
対象:Suno AIを使ったオリジナル曲制作
ポイント:テーマ、モチーフ、言葉、構成、サウンドの5方向からずらす
テーマだけ変えても、曲は意外と似る
最初は『テーマが違えば別の曲になる』と思っていました。
でも実際には、テーマだけを変えても、同じ言葉の選び方、同じサビの上げ方、同じコード感、同じボーカルの熱量を使うと、完成した印象はかなり近くなります。
たとえば『迷い』『葛藤』『再生』のような抽象的なテーマは、言い換えれば何曲でも作れます。その分、歌詞の中で使う言葉も似やすくなります。
そこで最近は、テーマを決めたあとに、もう一段具体的なモチーフを置くようにしています。
モチーフを変えると、使える言葉が変わる
同じ『前へ進む』というテーマでも、山をモチーフにするのか、都市をモチーフにするのか、電子回路をモチーフにするのかで、出てくる言葉は大きく変わります。
山なら、稜線、岩、風、霧、雪。都市なら、信号、ガラス、路地、雑踏。サイバー系なら、ノイズ、信号、フレーム、回路。
メッセージが近くても、モチーフが違えば、歌詞の景色そのものが変わります。
最近は『何を言いたいか』だけで考え込んだ時ほど、『その感情を何に置き換えるか』から逆算するようにしています。
最近使った言葉を、あえて外す
曲を続けて作っていると、自分が無意識に選びやすい言葉が出てきます。
特に、光、夜、朝、影、空、声、記憶、境界といった言葉は便利です。便利だからこそ、続けて使うと曲同士の印象が近くなります。
そこで新曲を作る時は、直近の数曲を振り返り、『最近よく出ている言葉』を一度避けます。
完全に禁止するわけではありません。重要なのは、自動的に選んでしまった言葉をそのまま使わないことです。
一度外してみると、普段なら選ばなかった言葉や景色が出てきます。
サビの作り方も固定しない
歌詞だけでなく、構成にも自分の癖が出ます。
たとえば、イントロで印象的な一言を置き、Aメロで状況説明、Bメロで溜め、サビでタイトルを強く歌う。この形は分かりやすく、Sunoでもまとまりやすいです。
ただ、毎回同じだと『違う曲なのに、展開の感触が同じ』という状態になります。
そのため最近は、タイトルをサビで直接歌わない曲、最初にサビの一部を見せる曲、静かなサビから始める曲、ラスサビだけタイトルを回収する曲など、タイトルの置き場所とピークの位置を変えています。
ラスサビも一番サビの完全コピーにせず、最後だけ視点や言葉を少し変えるようにしています。
ジャンルではなく『音の役割』を変える
ジャンルを変えれば簡単に別物になるように見えますが、実際にはJ-ROCKからサイバーへ変えても、ドラムの勢い、ギターの入り方、ボーカルの押し方が同じなら、意外と似た感触になります。
そこで『何の楽器を使うか』だけでなく、『その楽器に何をさせるか』を変えるようにしています。
ギターを主役にする曲もあれば、ピアノやベースを前に出す曲もある。シンセをメロディとして使う曲もあれば、空気感を作るためだけに置く曲もある。
同じジャンルの中でも、中心にいる楽器を入れ替えるだけでかなり印象が変わります。
ボーカルの温度を変える
意外と大きいのが、ボーカルの温度です。
強い歌詞だから強く歌う、疾走感があるから一直線に熱く歌う。それだけでは、似た曲が増えていきます。
あえて強い言葉を少しダウナーに歌わせたり、激しい伴奏に対して冷静な歌唱にしたりすると、同じテンポでも曲の表情が変わります。
男性・女性という違いだけでなく、熱量、距離感、息の量、言葉の置き方まで変えることを意識しています。
完全に違う曲を作ろうとしすぎない
曲数が増えてくると、『これは前にもやった気がする』が増えてきます。
でも、すべてを過去曲と完全に別物にしようとすると、今度は何も選べなくなります。
最近は、全部を変える必要はないと考えています。
テーマが近くてもモチーフが違う。ジャンルが同じでもサビの作り方が違う。言葉が近くてもボーカルの温度が違う。
一曲の中で二つ、三つしっかり違う軸があれば、十分に新しい曲として立ち上がります。
過去の自分を敵にしないために
曲をたくさん作るほど、過去の自分は大きな資料集になります。同時に、『前にもやった』という壁にもなります。
でも過去曲は、避けるためだけにあるものではありません。
『この曲ではこの方向を使ったから、今回は反対側へ行ってみよう』と考えれば、新しい曲を作るための地図にもなります。
最近は、似ていない曲を無理に探すより、過去曲との差分を一つずつ増やしていく感覚で制作しています。
曲数が増えてきた今だからこそ、この作業そのものが次のアイデアにつながるようになってきました。


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