『彼岸未満』は、彼岸花をモチーフに、届かなかった願いと残り続ける記憶を描いた透明感のあるガールズロックです。
花と葉が同じ根から生まれながら同じ季節には出会わない彼岸花の性質を、「会えないこと」と「残り続ける悲願」に重ねています。秋の夕暮れ、赤い花、過ぎた時間の余韻を軸にまとめました。
乾いた風の 土手沿いに
今年も赤が 先に咲く
忘れた振りをしていた名前
一つ遅れて 胸に来た
並んで歩いた 帰り道
季節だけなら また巡る
同じ場所には 戻れても
同じ二人は もういない
花は 葉を知らず
葉も 花を見ない
同じ根を分けながら
違う季節を 生きている
彼岸まで 届かない
悲願のままで 残ってる
さよならだけで 終われたなら
こんなに赤くは 咲かないでしょう
会えないことを 知った後も
記憶は勝手に 色づいて
あなたを忘れる その手前
僕はまだ 彼岸未満
夕立後の 草の匂い
赤い列だけ 濡れている
こんなに綺麗に 咲くくせに
土の下には 毒を隠す
帰れぬ人を 見送るように
夕暮れの野で 揺れている
「諦め」という 花言葉も
この赤には 似合わなくて
摘めば終わるなら
そのままでいい
触れないまま 残るものも
確かにここに 咲いている
彼岸まで 渡れない
彼岸花だけ 風に揺れる
「また会う日」を 信じるほど
綺麗な話じゃ なかったけど
会いたいなんて 言えないまま
会えないことにも 慣れてきた
それでも秋が 来るたびに
あの日の景色が 咲き戻る
花の後から 葉が伸びて
葉が消えた頃 花が咲く
一度くらい
同じ季節に
出会えたならと
そんな願いを
まだ捨てきれず
風の向こうを 見ていた
彼岸まで 届かなくても
悲願のままで 構わない
叶わなかった 願いにだって
咲いた季節は 残るから
花は 葉を知らないままで
葉も 花を見ないままで
それでも同じ根から 生まれ
同じ土へと 帰ってゆく
会えないことを 抱えたまま
今年の秋を 歩いていく
あなたを忘れる その日まで
僕はまだ 彼岸未満
振り向かないまま
秋が一つ 遠くなった
この曲のイメージ
彼岸花の美しさと毒、花と葉がすれ違う性質、彼岸と悲願という言葉の重なりをひとつの物語にしています。忘れたつもりでも秋が来るたびに記憶が咲き戻る、その距離感を静かな透明感とガールズロックの推進力で描いた曲です。



